明日が来なければいいのに

今君に素晴らしい世界が見えますか

夜間飛行の続きは夢の中

 

3年経ったらこの職場をやめようってずっと、2年前の4月に入った時からずーっと思っていた。やめたらどこへ行くかとか、何をするかとか、そんなことは大して考えてなかった。とにかくこんな町から出ていきたいという一心だった。

オラこんな村いやだ。たすけてください。

それから夢はころころ転がって、看護師を辞めたくなって、わたしは可愛いからカフェの店員さんをやってみたくなって、どうせ出ていくなら中学生の頃から憧れていた東京がいいなと思うようになって、だけどわたしの人生に死って切り離せないんだって気づいて結局看護師は続けることとなった。完全に死に呪われている。

人はやがて死ぬ。

 

 

先日面接を受けた東京の病院の内定が確定した。

 

観光地じゃないところはこれまでも歩いてきたけど、住んだらどう生活するのかって考えて歩いたことは無かった。

ここに住んだらあのお店で買い物をして、勉強するときはここかな、夜中にお腹がすいたらこのお店に来てもいいな、とか。歩いている人の顔は穏やかで、歩行速度はそんなに速くない。セミがうるさい。駅前は喫煙できないんだ、そっちのお店には喫煙席がある。ラーメン屋さんが多い。カレー屋さんがある。隣の駅で降りたらこんな感じなのか。こっちの駅前よりあっちの駅前の方がたのしい。プリクラはここで撮ることができる。

そういう生活の想像の登場人物はわたししかいない。

この街に引っ越してきたら、全員知らねえ人間だった。そうだったなあ。うん、そりゃそうだ。

 

まさか東京に引っ越すことが決まるなんて思いもしなかった。

これまで東京に住みたいなって話していたことが冗談のつもりってわけでもないけど、どうせ自分は北海道から出られない オチなんだろうナァとどこかで思っていた。気軽に転職サイトに登録して、思ったままにこんな所で働きたいんですけどーつって、ぼんやりとした夢を話す感覚でまわりに来年東京イコッカナ〜と思ってて…なんて話をしていたら、あれよあれよと決まってしまった。

自分って小さくて平凡に埋もれる田舎の人間だと思ってたら、どうやら違ったらしい。田舎じゃなくて都会で埋もれる運命になった。わたしが、いいんですか?っていう気持ちで、まだ夢を見ている気分。

でもあんなにおっきい街で、今住んでいるところの人口の倍の倍の倍の……人間たちの中でどうやって生きていくのか見当もつかない。全員他人だと思うと冷や汗が出てくる。わたしの名前を覚えて呼んでくれる人がいるのか、友達はできるのか、彼氏はできるのか、自分の帰る家だって認識できるようになるのか、住人として景色に馴染めるのか。

新しい場所で生活を始める時、どんな感じだったっけ。

同じところにずっと居るのが苦手で、高校も看護学校も知り合いがいないところに行った。いつも知らねえ人間だらけの中で1からやってきた。それでもいつも帰る家はちゃんとあって、変わらないお母さんとお父さんが待っていてくれた。大人になってからは遠くに離れて住む友達が夜中に車を飛ばして会いに来てくれてたり、仕事帰りにいつもの先輩といつもの決まったチェーン店で食べるご飯はなぜか世界で1番美味しかったり、近所の川辺でひとりで飲むお酒も美味しかった。美味しかった話をしたいわけじゃない。もう少し聞いて。

つまり、つまりなんなのかと言うと〜え〜〜っと、ブレない場所というか人というか、そういう所がこれまではあったんだけど、もう無くなるじゃん。怖いな〜って、宇宙に放り出される気持ち。どう考えても北海道のほうが東京より広いし野生動物みんなデカくて怖くて試される大地なんだけど、東京って漠然とした宇宙感ないですか?ブラックホールか??つかまるところないから簡単に吸い込まれるし、ブラックホール出現しなくても無重力だからちょんって押されたらどこまでも飛ばされる。こわすぎ。

なんの話だろうってみんな思い始めてる。

わたしも思う。宇宙は怖い。

そうやって考えながら書いていたら寝ていた。目が覚めなければよかった。今夜はこんなことの繰りかえしだ。そんな夜をこれからも何回も繰り返して年老いていくのか。ふ〜ん、なんのために生まれたのか意味わからん。たぶん東京に引っ越すため。そんなわけはない。でも東京に行く。

東京に引っ越したら、したいことたくさんある。わたし以外知ってる登場人物いないって言ったけどあれ嘘。たのしいことは人に全部は言わない主義。ほとんど書いてみんなに頭の中パカーって見せてるけど、1ミリくらいは内緒にしてる事あるよ。自分だけが知っていたいことだって世の中にはある。きも、独り占めすんな。

このブログのことだって5日経てば何書いていたか忘れる。内緒にしてたらどんどん忘れてしまうような、気がする。声に出したり、文字にしておかないと、忘れる。わすれたら無かったことになるわけじゃないけど、寂しいね。この街のことも引っ越したら忘れていくのだろう。ちょっと寂しいなって思った。

あと213回くらい寝ておきたら東京都民になってる。

おやすみ。

あと212回くらい。忘れながらでも新しいことを知りながら死に向かっていく。